2009年4月入社。入社後、有機化学品部隊に配属の後、現部署へ。
一貫して営業部隊に所属。現在は苛性ソーダや塩酸など、無機薬品を主に担当。
会社部活動の運営状況確認、忘年会などの企画・幹事をするSSC会の理事長を務める。
当社組合における、執行委員としての活動も経験している。
商社の存在意義を問われる時代に
「私は思うんです。商社が世の中に存在する意味は絶えず変化していると」
例えば、かつては情報入手が付加価値であり役割の一つだった。緊密な関係づくり。正確な情報入手。裏取り。商社は、本当に知りたい情報を知らせる役割を担っていたからこそ、取引を任された。しかしWEBが発達した今、情報入手の意味合いは大きく変わった。「本当に知りたい情報」のレベルは格段に上がり、情報を収集、選別する力とそのスピードが求められるようになった。もちろん、情報入手だけではない。商社はモノの調達や確保、拡販、各種開発、新素材探索、投資など、手がけていることは多岐にわたる。
一つ言えること。それは、自分たちの存在意義を常に見出し、創り出すことがよりー層問われる時代になっているということだ。
「これが、これから入社する人に伝えたい商社の実態なんです。決して華やかな世界だけではありません。むしろ地味なことの方が多いかもしれません」
それに気づいたのは入社後だった。ここまでの8年、考え、行動し、模索し、答えを出し、また考え、を続けた日々。「きっとこれからも同じだと思います」最初は仕事の成果が得られず…焦りや落胆から会社に行きたくないと思ったことも、辞めようと思ったこともあった。モチベーションがみつからないことが大きな理由だった。
軽い気持ちで飛び込んだ社会で
中学、高校と、甲子園を目指し、野球に明け暮れた。甲子園に行きたい、という圧倒的なモチベーションが、どんなに苦しいことも乗り越えさせてくれた。会社でも、モチベーションさえあればやっていけると思っていた。「でもよく考えると、入社の動機が曖昧で。未来を創るとか、世界の架け橋になるとか、なんとなく感じるカッコ良さとか。給料や福利厚生も十分。入社できたら、あとはそれなりにやっていけるだろ、っていう安易な考えでした」その考えは、1年と経たずにひっくり返された。ビジネスは根性だけではできない。体力だけでもない。勉強だって必要だし、物事の考え方を広く深くする努力も必要。いま仕事がうまくいってるな、と思えるから自分自身もうまくいってるし、今後もうまくいく。その程度の考えだった。だがそうではなかった。頑張っているつもりだが、チームに貢献できていないことも感じ始め、気まずくはがゆい思いが日々ふくらんだ。
「担当を持たせてもらってからは残業も結構してたので、もう仕事がホントに辛くて。モチベーションなんか全くなかったからでしょうね。どうにかしたくても、どうにもならなかったですし。だからこそ、うまくいかない時に自分でモチベーションを作れる人に入社してほしいです。うまくいっている時は、何となくでもうまくいくので。そんなことできない、というのであれば苦労すると思いますし、当社には向いてないかも、ということは伝えておきたいです。でも、入社を決めてくれるなら、一緒に頑張りましょう」
積み重ねの上に結果は突然に
どん底にまで落ちた井口が這い上がってきたのは、ある転機を迎えてからのこと。自分なりに仮説と検証を重ねたその提案が取引先に認められ、評価を得た。今のペースで引き続き努力してくれと言われた。それをきっかけに、自分を取り巻く人たちから期待されていると感じることが増えた。自分の話に耳を傾けてくれる。意見を求められる。信頼されている。任せておけば、あいつなりに回答を持ってくる。いつしか、「ああしろ」「こうしろ」とは言われなくなっていた。そう感じるだけで少し楽になった。
「いきなり劇的に変わったわけではなくて、小さなことの積み重ねです。エビで鯛を釣るような、そんなウマい話はないと思いますよ。やっぱり多かれ少なかれ地道な努力は必要です」。それがすごく大きなことをやるための最大の近道だった。積み重ねの上に、結果は突然表れる。身をもって知った貴重な体験だった。「職場環境も良いし、自由だし、みんな優しいですよ。でも甘くないんです。おまえがやらなくても私はやるよ、と誰もが自分を律しています。変革マインドも持っている。我を強く持つ反面、人の言うことにも耳を傾けてみようという気持ちも持っている。そういう柔軟性がある人が、多いと思いますよ」
個に自由のある社風を使え
「住友商事ケミカルは何だってできる。世界をまたにかけて仕事できる。欧・米・アジアと、どこへでも行ける。当社にしかない、長年培ってきたビジネス環境が整っている。住友というブラントもある」小さな会社なので、社風はあるようで、ない。社というより個に寄っている、個の力が結集した会社なのだ。
「世界は感じますよ。自身の姿勢次第ですが、否が応でも世界の情報が入ってきます。あるモノの市場の動向や、これから注目される材料がなんだ、とか。こちらが情報を整理する能力がないと、活用できないほど入ってきますよ」
入社後、会社の補助制度を利用して英語学校へ通い、英語力を身につけた。海外との仕事がしたいと思った時、英語が理解できないのでは話にならないな、と思ったのが理由だった。
ノートの数だけ増えた自信
井口は、教えてもらったことを手帳やノートに書くことを、入社してからずっと続けている。使い終わった後もずっと持っている。その数は自分が学んだ証だった。貯め込んだ手帳やノートを見ては、「これでだめだったら仕方ない」と、落ち込んだ時の支えにしていた。だからなのか、何となく捨てられない。
「あの時と比べたらがんばってるかな」最近大掃除した時に、ノートを見て思った。「情報管理の仕方は人それぞれですが、私は紙派なので。ノートは上書きがたくさんあって、グチャグチャで。いまや何を書いてるかわからない部分もたくさんあります」
メモする。それは誰にでもできる簡単でシンプルなことだが、継続は意外と難しい。入社したら、そういう誰にでもできることから、まずはコツコツやることも考えてほしい。
「最近の周りの方々を見てて思う時があります。大きな夢を持ってていいなと。でも、キレイにやろうとしたり、言い訳しちゃったり、すぐあきらめたり。自分もそうだったし、いまもその部分はあるので、気持ちはよくわかります。ただ、 カッコイイ仕事をして夢を叶えるためには、泥臭いことにも真正面から立ち向かってほしいんです。苦しんだ経験は必ず糧になると思います」住友商事ケミカルには、1年目や2年目から仕事を任される環境がある。プレッシャーはあるけど、ワクワクできる。皆でフォローしてやるからやってこい、という雰囲気がある。
入社以来、自分が経験してきたジェットコースターのような8年。苦しかったことも、楽しかったことも、未来の新入社員にありのまま伝えたい。このまっすぐな気持ちが、新たな住友商事ケミカルの未来を切り拓いていく。